アルミ鍋はアルツハイマー病の原因になる?
ヤフー知恵袋や、教えてグーなどで質問が多いのが
「アルミ鍋から融けだしたアルミニウムがアルツハイマー病の原因になるのでは?」
という質問です。
今回はこの質問について考えてみたいと思います。
まず、そもそも論としてアルミニウムはアルツハイマー病の原因になるのでしょうか?
実はアルミニウムがアルツハイマー病の明らかな原因かどうかは、未だよくわかっていないのが現状です。
「患者さんの脳にアルミニウムが蓄積しているとか、水道水中のアルミニウム濃度が高い地域で発生率が高いという報告がされたりしていますが、発症のメカニズムはよくわかっていません。」
と書いてあります。
また、よくある間違いに
「アルツハイマー病の患者さんの脳を調べたらアルミニウムが蓄積されていた」
「飲水に比較的高い濃度のアルミニウムが入っている地域の方に、アルツハイマー病発生率が高かった」
という研究文献から、アルミニウムがアルツハイマー病の原因だと思っている方がおられます。
しかし、これは厳密に言えばあくまでアルツハイマー病の発病とアルミニウムに何らかの関係がある可能性があるということで、はっきりとアルミニウムがアルツハイマー病の原因とされたわけではありません。
例えば佐賀県では、毎年肝臓がんで亡くなる方の割合が全国ワーストワンですが、はっきりとした原因はわかっていません。
このことから、佐賀県に住むと肝臓がんになりやすいといえるかといえば、決してそうだとは証明できないのと似ています。
<佐賀のがん情報>
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top/001/001_01.html
次に、アルミニウム鍋から本当にアルミニウムが溶け出すのでしょうか?
また、溶け出すとしたらどれほど溶け出して、そのうちのどれほどが体内に溜まるのでしょうか?
色々と調べたところ、フライパン倶楽部というサイトに
日本では、国立医薬品食品衛生研究所を主体とした研究で、 あらゆる調理においてアルミ製調理器具を用いた場合の試算値を、1日当り1.68mgとしています。 これらのデータは、「すべて」「あらゆる」を前提に試算されたものですから、 実際には相当少なくなるでしょう。
という記述がありました。
同ページに人の1日の平均摂取量が1〜10mg程度と書かれてありますから、1.68mg程度では十分平均摂取量の範囲内に収まるようです。
また、京都府消費生活安全センターのサイトでも人が1日に摂取するアルミニウム全体量の約2%が鍋などの調理用品からと書かれてありますので、アルミニウム鍋を毎日使用していからといって、過剰のアルミニウムを摂ってしまうというのは、考えられにくいのではないでしょうか。
更には、体内に摂取されたアルミニウムは、その約99%が体外に排出されるのです。
(同 フライパン倶楽部より http://www.furaipan.com/kaigi/10/0318.shtml)
ただ、どうしてもアルミニウム鍋からのアルミニウムが気になるのであれば、
- 鍋を別のステンレス製に変える
- アルミニウムはアルカリ性・酸性の時により溶け出しやすいので、食酢や重曹、ジャムなどの酸性アルカリ性に偏った料理をつくる場合はほうろう鍋を使う
- 長く煮込む料理をつくる場合には、同じくほうろう鍋を使う
など、用途によって工夫することでアルミニウムを摂取することを減らすことができます。