アルツハイマー型認知症の薬物療法は?その1
アルツハイマー型認知症の治療法の種類は?でも解説しましたが、アルツハイマー型認知症の治療の主流は薬物治療になります。
薬物療法では、アルツハイマー型認知症になると考えられている原因を見つけ、その原因を治していく方法になります。最も直接的な治療方法になります。
ここでは最も代表的な治療薬について説明してみましょう。
- ドネぺジル(アリセプト)
アルツハイマー型認知症になると、病気の進行につれてアセチルコリンという脳内伝達物質が減少していきます。
この脳内伝達物質のアセチルコリンとは、脳神経どうしが情報を交換したり、伝えたりする場合の重要な物質になります。
たとえていうなら、陸上のリレー選手のバトンの役割を果たしているんですね。バトンがないと、次の選手が走り出すことができません。その結果遅れてしまいますね。
このバトンと同じで、アセチルコリンというバトンがないと、脳内のお互いの神経同士にうまく情報が伝わらないんですね。
アルツハイマー型認知症になると、このアセチルコリンが酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の働きで分解されて減少してしまいます。そこで、そのアセチルコリンを分解する酵素の働きを抑えれば、結果的にアルツハイマー型認知症の症状が抑えられるのでは?と考えて作られたのが、ドネぺジル(アリセプト)になるんですね。
アセチルコリンエステラーゼによってアセチルコリンが減少
↓
アルツハイマー型認知症が進む
↓
ドネぺジル(アリセプト)
↓
アセチルコリンエステラーゼの働きを抑える
↓
アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑える
という流れになるんですね。
また、この薬は、始めはアルツハイマー型認知症の初期、中期の患者さんに有効だと認められていましたが、2007年に「高度アルツハイマー型認知症」の適応症が追加承認されました。
ただしこの薬にはいくつかの注意点があります。
- 根本的な治療薬ではない
- 副作用がある
この薬の仕組みからもわかるように、アルツハイマー型認知症を根本的に治療する薬ではありません。あくまで、進行を抑える効果が期待できるという事になります。
どんな薬でもそうですが、もちろんドネぺジル(アリセプト)にも副作用がありますので、注意が必要です。主な副作用は、「食欲減退」「悪心(吐き気・むかつき)」「嘔吐」「下痢」などの主に消化器への副作用が見られます。
参考サイト
アリセプトの副作用は?注意すべき副作用とその対処法
http://www.aricept.jp/about/allof/ari07_01.html